Ubuntu 10.04 Lucid Lynx に pLaTeX をインストール (ptexlive を使用)

現在のところ Ubuntu 10.04 では dvipsk-ja というパッケージが依存関係の問題により apt-get でインストールできません。 このパッケージは日本語対応の dvips のインストールに必要で、これがインストールできないと pLaTeX から DVI ファイルを作った後 PostScript ファイル経由の PDF 作成ができません。

そんなわけで、apt-get で TeX 環境を作るのではなく、ptexlive を使って日本語 TeX 環境を構築したのでその手法をメモしておきます。

(この記事の最後にちょこっと書いていますが、Ubuntu 10.04 でも dvipsk-ja がインストールできるリポジトリが公開されていますので、そちらを使用してもいいかと思います。)

全体的な流れ

大まかな流れは以下のとおりです。

  1. 必要なパッケージを apt-get でインストールする
  2. TeX Live をインストール
  3. ptexlive をインストール

基本的には ptexlive Wiki の ReadMe に書いてあるとおりです。

必要なパッケージのインストール

まずは必要なパッケージを apt-get でインストールします。 Ubuntu 10.04 Desktop 版にもともとインストールされているパッケージは書いていません。 以下が必要なパッケージですので、apt-get でインストールしてください。

  • bison
  • flex
  • g++
  • patch
  • xz-utils
  • libxt-dev
  • libxaw7-dev
  • libfontconfig1-dev
  • cmap-adobe-japan1
  • cmap-adobe-japan2
  • gs-cjk-resource
  • poppler-data

また、以下の 2 つのパッケージがないと make 時に止まってしまうという情報を頂きましたので、以下のパッケージもインストールしておくと良いと思います。

  • ttf-sazanami-gothic
  • ttf-sazanami-mincho

TeX Live 2009 のインストール

ftp://tug.org/historic/systems/texlive/2009 (または http://ctan.binkerton.com/systems/texlive/Images/) から texlive2009-20091107.iso.xz (1.4GB) をダウンロードします。 このファイルを xz-utils (unxz コマンド) で解凍し (GUI 上でファイルを右クリックでも解凍可)、ISO ファイルを取り出します。

ISO ファイルを /mnt/texlive2009 あたりにでもマウントして、マウントした場所の中で install-tl ファイルを実行します。 マウント先のディレクトリの作成、マウント、マウント先へ移動、インストールの実行までのコマンドは以下のようになります。

$ sudo mkdir /mnt/texlive2009
$ sudo mount -o loop ./texlive2009-20091107.iso /mnt/texlive2009
$ cd /mnt/texlive2009
$ sudo ./install-tl

"install-tl" ファイルを実行すると、どのようなアクションを行うか聴かれますので、"I" コマンドを選んで /usr/local/texlive/2009 (デフォルトの位置) にすべてのパッケージをインストールします。

ptexlive のインストール

http://tutimura.ath.cx/~nob/tex/ptexlive/ から ptexlive-20100322.tar.gz (1.4 MB) をダウンロードしてきます。 ホームディレクトリに ptexlive というディレクトリを作成し *1、そこにダウンロードしてきたファイルを置くとします。

以下のコマンドで、ダウンロードしたファイルを展開し、できたディレクトリに移動します。

$ cd ~/ptexlive
$ gzip -cd ptexlive-20100322.tar.gz | tar xvf -
$ cd ptexlive-20100322

次に、インストール時の設定用ファイルを作成し、編集します。

$ cp ptexlive.sample ../ptexlive.cfg
$ gedit ../ptexlive.cfg ((テキストエディタは gedit じゃなくても vi なり emacs なり好きなものを使用してください))

基本的にはデフォルトのままで、ISO ファイルのマウント先を実際のマウント先のパスに変更し、CONFIG_SHELL の行のコメントアウトを外す *2 だけで構いません。

...
ISO_DIR=/mnt/texlive2009
...
export CONFIG_SHELL=$BASH
...

あとはビルドし、インストールします。

$ make all3
$ sudo make install
$ make distclean ((作業領域の削除))

パスを通す

最後にパスを通します。 ptexlive 2009 のインストール先ディレクトリは /usr/local/texlive/p2009 で、パスを通すべき場所は /usr/local/texlive/p2009/bin/arch です。 (arch の部分は環境によって変化する。)

全ユーザでパスを通す場合、/etc/profile の最後尾に以下の 2 行を追加します *3

...
PATH=$PATH:/usr/local/texlive/p2009/bin/arch
export PATH

使い方とか色々

これでインストールが終了しました。 platex コマンドで日本語 LaTeX を DVI に変換、pdvips コマンドで DVI ファイルを PS ファイルに変換、ps2pdf コマンドで PS ファイルを PDF ファイルに変換できます。

ps2pdf コマンドで PDF に変換する際のフォントの設定は [TeX][Ubuntu] pLaTeX のフォント設定 という記事で書いた方法で可能です。

Ubuntu 10.04 でインストール可能な dvipsk-ja パッケージ

ptexlive とは全然関係ないですが、Ubuntu 10.04 でもインストールが可能なように 依存関係の問題を解消した dvipsk-ja パッケージ が Mitsuya Shibata 氏により公開されているようです。
このパッケージを使用すれば Ubuntu 9.10 以前と同じ方法で pLaTeX が使用できるようになると思います。

cf: pTeX / pLaTeX のインストール - KUEE Wiki

*1:どこでもいいんですけど説明の便宜上

*2:Ubuntu ではこれをしないとビルド中にエラーが発生する

*3:申し訳ありません。 本来は "PATH=$PATH:/usr/local/..." としなければいけないところが "PATH=PATH:/usr/local/..." となってしまっていました。 修正しました。 [2010-08-31]

pLaTeX のフォント設定

Ubuntu 9.04 (Jaunty) において、pLaTeX + dvips + ps2pdf を使って LaTeX ファイルから PDF を生成する際のフォント設定に関するメモです。 ろくに知識もないのにネットで調べながらなんとかフォントの変更をした人間が書いたメモなのでおかしいところがあるかもしれません。

環境

OS は上記のとおり ubuntu 9.04 (Jaunty) です。 LaTeX およびそれに関連するコマンドは、すべて apt-get コマンドにてインストールしたものです。 下記パッケージが TeX 関連でインストールしたものです。

  • texlive
  • texlive-latex-extra
  • ptex-bin
  • dvipsk-ja
  • cmap-adobe-japan1
  • cmap-adobe-japan2
  • gs-cjk-resource

日本語対応の dvips コマンドが使用するフォントの設定

まず、pLaTeX コマンドによって LaTeX ファイルを DVI ファイルに変換しますが、この時はまだフォントの指定はされていないらしいです。 日本語対応の dvips コマンドによって DVI ファイルを PS ファイルに変換する際にフォントの指定が行われるようです。

その際に指定されるフォントですが、これは

  • /etc/texmf/dvipsj/psfonts-jp.map

に書かれています。 中身を見てみると以下のようなことが書かれていると思いますが、この rml がローマン体に対応する日本語フォント (明朝体) で、gbm がゴシック体に対応する日本語フォントのようです。

% (略)
rml Ryumin-Light-H
rmlv Ryumin-Light-V
gbm GothicBBB-Medium-H
gbmv GothicBBB-Medium-V
% (略)

とりあえずこのファイルは特に変更をおこないません。 問題となるのは、rml や gbm の右側に書かれている Ryumin-Light-H や GothicBBB-Medium-H というのがどこで定義されているのかです。

Ryumin-Light や GothicBBB-Medium の定義の変更

これらの定義は /var/lib/defoma/gs.d/dirs/fonts/cidfmap に書かれています。

...
/GothicBBB-Medium /SazanamiGothic-Regular ;
...
/Ryumin-Light /SazanamiMincho-Regular ;
...

こんな行があると思いますが、この右側の SazanamiMincho-Regular などの部分を書き換えれば良いことになります。 下記のように書くことで、フォントファイルを指定できます。 (フォントファイル自体 (下記の例では IPA モナーフォント) は別途インストールしてください。)

...
/GothicBBB-Medium << /FileType /TrueType /Path (/usr/share/fonts/truetype/ttf-ipamonafont/ipag-mona.ttf) /SubfontID 0 /CSI [(Japan1) 0] >> ;
...
/Ryumin-Light << /FileType /TrueType /Path (/usr/share/fonts/truetype/ttf-ipamonafont/ipam-mona.ttf) /SubfontID 0 /CSI [(Japan1) 0] >> ;
...

また、以下のように書くこともできます。 後から設定を変えることを考えると、以下のように書いた方が良いでしょう。

...
/IPAMonaGothic-Regular << /FileType /TrueType /Path (/usr/share/fonts/truetype/ttf-ipamonafont/ipag-mona.ttf) /SubfontID 0 /CSI [(Japan1) 0] >> ;
/GothicBBB-Medium /IPAMonaGothic-Regular ;
...
/IPAMonaMincho-Regular << /FileType /TrueType /Path (/usr/share/fonts/truetype/ttf-ipamonafont/ipam-mona.ttf) /SubfontID 0 /CSI [(Japan1) 0] >> ;
/Ryumin-Light /IPAMonaMincho-Regular ;
...