『Ruby ベストプラクティス ―― プロフェッショナルによるコードとテクニック』 Gregory Brown 著, 高橋 征義 監訳, 笹井 崇司 訳

Rubyベストプラクティス -プロフェッショナルによるコードとテクニック

Rubyベストプラクティス -プロフェッショナルによるコードとテクニック

これまで 『初めての Ruby』、『プログラミング言語 Ruby』 の 2 冊を読んで Ruby の勉強をして、3 冊目に本書を選びました。

開発スタイルやプロジェクト管理など、実践的な内容

私がこれまでに読んだ 『初めての Ruby』 と 『プログラミング言語 Ruby』 では、Ruby の文法や Ruby の文化的な部分 (変数名の命名規則など) の説明が主であり、実際に開発を行う際にどのように行うと良いか、という具体的な説明はありませんでした。

Ruby ベストプラクティス』 は、

  • 開発手法の 1 つとしてテスト駆動開発の説明と Ruby における具体的な方法
  • プロジェクトメンテナンスの指針 (一般的なプロジェクトのファイル構成の RDoc によるドキュメントの書き方、RubyGem の作り方など)
  • 美しい API の設計を行うための指針
  • デバッグに関する手法

といった、実践的な内容を含んでいます。

特に私にとっては、テスト駆動開発に関する説明や、プロジェクトメンテナンスに関する説明が有益でした。

テキストやファイルの処理、国際化やローカライゼーションといったことも

上で述べたテスト駆動開発やプロジェクトメンテナンスといった内容はやや高度で Ruby の中級者向けという感じがしますが、テキストやファイルの処理、国際化やローカライゼーションに関する章もあり、これらは初心者に有益であると思います。

テキストやファイルの処理の章では、正規表現を使った文字列処理の話や、プラットフォームに依存せずにファイルを処理するための標準ライブラリの説明があります。 また、国際化やローカライゼーションに関する章では、文字列のエンコーディングの話など、初心者でも気をつけておくべき内容が書かれています。

その他、動的なクラス機能の変更や関数型プログラミングなどについても

他にも、Ruby の各クラスや各オブジェクトのメソッドや継承関係などを動的に変更する話や、関数型プログラミングの手法を応用して Ruby で使用する方法についても説明がなされている。 これらは中級者以上の人にとって有用だと思います。

また、付録では標準ライブラリの一部を紹介したり、Ruby 1.8 と 1.9 で互換性のあるコードの書き方、プログラミング時にすべきではないことの説明をしており、初心者にとって有用でしょう。

まとめ : 初級者から中級者以上まで、各レベルの人に有用な内容

ここまで述べてきたように、『Ruby ベストプラクティス』 には初心者向けの内容から中級者以上向けの内容まで広いレベルの内容が含まれています。 内容は各章で独立していますので、理解できない章は飛ばして読む、ということもできます。

前書きには 「本書は Ruby 初心者を想定して書かれたものではない」 と書かれていますが、実際には Ruby の文法を学んだ程度の初心者にも有益ですので、Ruby 初級者から中級者以上の人まで、多くの人にオススメの本です。